2025-05-30 diary: 製作中のオーダーメイド・ビオラの概要

製作中のオーダーメイド・ビオラの概要

いま製作中のオーダーメイド・ビオラの概要をメモしておきます。もうすぐ表板を貼り付けるという工程です。

1. 目指す楽器像

• 1850 年頃の“モダン”ビオラを再現。
• オールドの華やかさでも、現代コンテンポラリーの過剰なパワーでもなく、内声楽器らしい控えめな響きと誠実さを大切にする。
• チェロには近づけず、大きなバイオリンを基本とする。

2. 基本仕様

項目	内容
型紙	Stradivarius 171X 年型の外観を基にした約 41 cm ボディ
表板	スプルース・ブックマッチ、極厚指向
裏板	バルカン産メイプル 1 枚板、極厚指向
アーチ高	表 17.5 mm／裏 16.5 mm（ハイアーチ、彫り深めで立体感を強調）
横板高さ	ネック側 34 mm／テール側 35 mm（やや低リブで抱えやすさを確保）
ブロック	ネック・テールとも大型で堅牢 ― 鳴り過ぎを抑え輪郭を明確化
ネックヘッド幅	46 mm（ポジション感の安定を重視）
ネック長	今後調整（弦長との最適バランスを探る）
駒	Despiau

3. 設計哲学と音響方針

• 控えめな常鳴（ジョウメイ）
  • ふだんは落ち着き、必要なときにだけ豊かに語る。
• 厚板 × ハイアーチ × 低リブ
  • 極厚板で芯と持続力を確保。
  • ハイアーチで空間容積と豊かな倍音を補完。
  • 低リブにより 41 cm サイズでも身体負担を軽減。
• 大型ブロックによる“鳴りの制御”
  • 過度な余韻を抑え、フォーカスした音像を実現。
  • 初期はややタイトだが、弾き込む程に開く設計。
• 経年で育つポテンシャル
  • 厚板と堅牢構造が、年月の振動でゆっくり開き、“熟成する音”を念頭に置く。

4. 奏者へのメリット

• 持ちやすさ：薄い胴体と低リブで長時間演奏の負担を軽減。(ただし重量は大きくなる見込み)
• 音色の個性：ビオラらしい中域の暖かさが際立ち、弦楽四重奏で内声を自然に支える。
• 成長する楽器：弾き込みとともに深みが増し、演奏者と一緒に歳を重ねる楽しみ。

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Last modified: $Date: 2025-05-30 $

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